
静岡ガスは美しい伊豆創造センターと共同で、6月6日(土)に伊豆市天城山にて「シカによる食害の現状と天城山の自然を現地で学ぶ」秘境・八丁池を目指すトレッキングツアーを開催した。静岡県内外から環境保全や自然観察に関心を持つ20名が参加し、ガイドと共に八丁池を目指しながら、ニホンジカによる食害の実態や天城山の豊かな自然について学んだ。
天城山の豊かな自然と森の循環を体感
今回のツアーは、2020年9月に静岡ガスと美しい伊豆創造センターが締結した長期パートナーシップ協定に基づく取り組みである。参加者は、徒歩でしか訪れることができない秘境・八丁池を目指し、新緑の天城山をトレッキングした。道中では現地ガイドの案内のもと、シカの食痕や自生する植物を観察し、森の「今」の姿を確かめた。

キウイフルーツとそっくりな「サルナシ」の実

木の種類によって異なる樹皮の触り心地を体感
当日は、トレッキングに最適な穏やかな気候の中、参加者はブナやヒメシャラが広がる天城山ならではの山道を、緑の香りや鳥のさえずりに癒されながら歩いた。太平洋側においては貴重なブナの原生林がある天城山。ここでは、ブナが高い保水力によって山の水の循環を支え、土砂の流出を防ぐ重要な役割を果たしている。

ブナの倒木から新たな命が芽吹くようすを観察

ブナの木の実と葉っぱ
参加者は一本のブナを囲み、地上の枝先とほぼ同じ範囲まで広がるといわれる根の広さを想像した。また、倒れてしまったブナからキノコやシダが新たに芽吹いた様子も観察し、森が世代を超えて循環していく姿にも触れた。
シカの食痕を辿り、植生への影響を学ぶ

樹皮がシカに食べられ、めくれてしまった様子
天城山では近年、ニホンジカの増加による植生への影響が問題となっている。一見すると豊かな森だが、大木に育ったブナの周辺には、幼木がほとんど生えておらず、樹皮の表面がめくれた木々も多く見られた。シカが幼木や樹皮を食べてしまったことが原因である。

シカの侵入防止柵の内側には、植物が生い茂る
15年前に設置した「シカ柵」の周辺では、シカの侵入を防いだ柵の内側には多様な植物が生い茂る一方、外側には植物がほとんど育っておらず、参加者はシカが植生に与える影響の大きさを実感した。
終着点「八丁池」で伊豆半島の成り立ちに触れる

参加者全員で無事到着。池のほとりで記念撮影

木々の間から見える幻想的な八丁池
約2時間山道を進むと、木々の間からたっぷりと水をたくわえた八丁池が姿を現した。晴天時には富士山を望める展望台だが、この日は霧が流れ、幻想的な山並みが広がる印象的な風景だった。ガイドの解説により、火山活動によって形作られた天城山の地形や地質、さらには伊豆半島の成り立ちと自然環境とのつながりについて理解を深めた。
また昼食には、天城名産のしいたけを使ったコロッケとおにぎりのお弁当を、八丁池のほとりで景色を楽しみながら味わった。
次世代へつなぐ自然への関心
今回のツアーでは、参加者から「ガイドの解説により、自分では気づけなかった自然の見方を知ることができた」「現地を歩き、自分の目で実態を確かめることで、森の問題をより身近に感じることができた」といった感想が寄せられた。
また、ガイドからは「自然を身近に感じてもらうことで、その大切さを次世代につないでいきたい」とのコメントがあった。
静岡ガスグループと美しい伊豆創造センターは、今後も伊豆半島の自然や文化、地形・地質を体感できるプログラムを企画し、地域の魅力発信と自然への関心を深める取り組みを進めていく。
伊豆半島の美しい自然を体感するだけでなく、ニホンジカによる食害というリアルな課題にも直面した今回のトレッキングツアー。地域の豊かな自然と魅力を次世代へ向けてつないでいく今後の取り組みに注目したい。
美しい伊豆創造センター×静岡ガスグループ連携サイト:https://izugeopark.org/shizgas
(Kanako Aida)